「となりの億万長者」を読み直しました
アメリカの億万長者を研究して、共通点を探るという本です
資産形成を目指すさいに重要な考え方がまとまっています
今回は内容と感想を書いていきます
となりの億万長者 内容とまとめ
- アメリカの億万長者の生活を研究した本
- 浪費をせず、倹約につとめることが大切
- 医師は浪費家で資産がない人が多い
- 子どもにお金を与えすぎると、いつまでも自立できない
となりの億万長者 要約・まとめと感想
「となりの億万長者」はどんな本?
100万ドル(≒1億円)以上の純資産を持つ人にインタビューし、背景を研究するという本です
和訳の旧版は1997年、新版は2013年に発行されています
本書はドルベースですが、わかりやすくするため1ドル=100円とします
研究の中でわかったのは、意外な事実でした
- 高級住宅街に住んでいる人が、金持ちとは限らない
- 普通の暮らしをしている人の中に、億万長者はいる
普通の暮らしをしている、"となりの"億万長者というわけです
では、普通の暮らしをしながら、普通ではない億万長者にどうしてなれたのか?
そんな億万長者に共通する法則が挙げられています
億万長者に共通する7つの法則
- 収入よりはるかに低い支出で生活する
- 資産形成のために時間を使う
- 世間体を気にしない
- 親からの援助に頼らない
- 経済的に自立するよう、子供達を育てる
- ビジネスチャンスを掴むのがうまい
- 時代に合った職業につく
本書から、とくに面白いと思った点(1・2・4)を今回紹介していきます
蓄財優等生と蓄財劣等生:お金持ちは倹約家
本書で繰り返し強調されているのは、倹約の重要性です
倹約の指標に"期待資産額"があります
期待資産額 = 年齢 × 年収 × 0.1
期待資産額と実際の純資産を比較し、蓄財優等生・蓄財劣等生・平均に分けられます
蓄財優等生とは?
- 蓄財優等生:実際の資産 > 2 × 期待資産額
- 蓄財劣等生:実際の資産 < 0.5 × 期待資産額
- 平均:劣等生と優等生の間
蓄財優等生/劣等生は収入や資産の多寡と無関係
みなさんはどうでしょうか?
自分はほぼ蓄財劣等生
年収が1,400万円くらいなので、1400 × 0.1 × 30 = 4,200万円が期待資産額
つまり、上記の式だと下記のようになります
- 8,400万円〜:蓄財優等生
- 2,100万円〜8,400万円:平均
- 〜2,100万円:蓄財劣等生
現状は2,250万円くらいなので、ギリギリ0.5を超えるか超えないかというところ
-
【家計簿公開】2020年の資産推移・収入支出を振り返る
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ほぼ蓄財劣等生ですね…
本書で倹約の大切さについて書かれた部分を、いくつか引用してみます
「資産」は「所得」と同じではない。毎年高い収入を得ても、それを全部使ってしまえば金は貯まらない。いい暮らしをしているだけだ。資産とは貯めるものであって、使うものではない
億万長者は(中略)少なくとも収入の15%を貯金に回して収入の85%で生活している
貯金の大切さは「私の財産告白」「バビロンの大富豪」など他の本でもよく出てきます
億万長者の半分以上が買ったことのないものリスト
- 4万円以上のスーツ
- 1.4万円以上の靴
- 2.4万円以上の時計
- 300万円以上の車
具体的な数字がたくさん載っているのは説得力があります
予算計画の大切さ:収入が多くても計画は大切
何にどのくらいお金を使うかの予算計画を立てることも、億万長者の特徴とのこと
蓄財優等生は蓄財劣等生の2倍の時間を資産運用にかけている
億万長者になるくらいなので、みんな収入も高めです。
それでも、攻め(収入の高さ)より守り(浪費をしないこと)が大切だと本書では説きます
高額所得者の大半は守りに弱い。だが億万長者は違う。億万長者は攻めも守りもしっかりしている。どちらかと言えば、守りに強いほうが、攻めに強い人よりもうまく資産を築くことが多い。資産形成の第一歩は守りにある。
本書では収入が高いが蓄財劣等生の多い職業として、医師が挙げられています
医師は守りに弱い
本書では、散財しがちな医師のドクター・サウスと、倹約家のドクター・ノースが出てきます。
ふたりとも年収7千万円とかなり高給取りですが、資産額は全く違います
- サウス家の資産:4千万円
- ノウス家の資産:7億5千万円
以下の質問にイエスと答えられれば蓄財優等生、ノーなら蓄財劣等生の傾向になります。ドクター・ノースはもちろんすべてイエス
- 家庭で毎年衣食住にどのくらいかけているかを把握しているか?
- 貯蓄や資産運用計画に時間をかけるか?
- 倹約家か?
自分もほぼ蓄財劣等生でしたが、医師は散財傾向の人が多いのではないでしょうか?
本書でもそれを裏付けるようなデータが記載されていました
高額所得者を職業別に分析すると、蓄財レベルが一番低いのは医者になる。蓄財優等生と蓄財劣等生の比率は、医者だけで見ると1:2となる
蓄財レベルが低い理由として、下記が考察されていました
医師に散財傾向の人が多い理由
- 在学期間が長く、社会に出るのが遅くなる
- 世間体の問題 (見た目を取りつくろう必要がある)
- 押しの強い証券営業のえじきになりやすい
大学は6年生+研修期間2年間であったり、ワンルームマンション投資の電話がかかってきたり、と確かに納得できる理由ではあります
ただこれらの理由ももちろんですが、とくに心に残ったのは以下の一節です
家計予算だ、資産運用計画だと時間を使うより、その分働いた方が収入が増えるんだから、そんな無駄なことをしなくたっていいじゃないか、という医者は多い。
蓄財優等生はまったく逆な考え方をする。
金は決して無駄にしてはいけないもの。生活設計を立てて、予算を立てて、必要以上にお金を使わない。たとえ収入が多くても、そうすべきだというように考える。
高支出をハードワークで補うという思想では幸せになれないと改めて感じました
子どもにお金を与えすぎてはいけない
過剰な経済的援助は麻薬になるということも本書では書かれています
経済的援助を与えれば与えるほど子どもは資産を蓄えず、援助が少なければ少ないほど資産を築くようになる。
彼ら(注:親から多額のお金を貰った子ども)はある一つの法則をしっかり身につけてしまう。
それは、自分で稼ぐより他人の金を使うほうがずっと簡単だ、という法則である。
直接お金を与えるのがNGとなると、何をしてあげられるのか?
「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」のが良いと本書では説きます
わかりやすい例は教育への投資です
ただ教育へ投資して小学校から私立に行かせたり、私立大学医学部へ進学すると、どうしても周囲の生活環境が"蓄財劣等生"になりがちですし、どうするのがベストかは難しいところです
下記のフレーズも参考になるでしょう
親が倹約家で自己管理に厳しく、子どもたちをきちんとしつけ、親に頼らず一人立ちすることの大切さを教えていれば、子どもは蓄財優等生に育つはずだ
まとめ:倹約マインドから子供の教育論まで
資産形成には守りの力が絶対に必要と本書では強調されています
それに加え教育や遺産相続、子供に勧める職業をどうするかなど
資産形成"後"の課題についても詳しく書かれている
点は類書と比べても面白いです
唯一残念なのは、Kindle版が存在しない点ですね…
となりの億万長者 まとめ
- 億万長者は倹約家であり、守りの力が高い
- 収入が多くても予算計画をキチッと立てる
- 子どもには金銭的援助を与えない
- 子どもに与えるのは教育や経験