新型コロナウイルス感染症の流行もあり、ここ数ヶ月でLINEヘルスケア・first callなどのオンラインでの診療・健康相談サービスが飛躍的に発展してきました。
そうしたサービスを利用して、副収入を得るというのが今回の目標です。医師であれば始めやすい点、給与所得以外の所得を得られる(税金をコントロールしやすい)といったメリットがあります。
今回はLINEヘルスケアで副収入を得る方法について解説していきます。
LINEヘルスケアとは
LINEヘルスケア株式会社は、8000万人のユーザを抱えるLINEと、27万人の医師会員を抱えるエムスリーが共同出資した会社です。余談ですがエムスリーは医師用ポイントサイトとしても優秀で、年間8〜10万円程度の副収入を得ることが可能です。
LINEヘルスケアでは2019年11月から遠隔医療の一環としてオンラインでの健康相談サービス(遠隔健康医療相談)を実施しています。今後は処方が可能な本格的なオンライン診療を導入予定とのことです。
メモ 遠隔診療の分類
遠隔医療の分類オンライン診療、オンライン受診勧奨、遠隔健康医療相談というのは少しずつ異なっています。
簡単に説明すると、”診断”や"処方"をするとオンライン診療扱いになりますが、「この症状では一般的にこのような病気が考えやすい」などと情報提供をするのがオンライン健康相談です。
詳しく知りたい方は厚生労働省のオンライン診療の適切な実施に関する指針を読まれると良いでしょう。
さて遠隔医療を実施するにあたり当然医師が必要です。オンラインでの患者相談に応じることで、副収入を得ようというのが今回の目的です。
どの程度収益があるのか?
副収入を目指すにあたって、LINEヘルスケアの報酬体系を確認しておきましょう。
応じる医療相談は3つに分類されます。
- いますぐ相談
- 予約相談
- あとから相談
いますぐ相談
言葉通り、相談者の依頼があってからすぐに相談が開始されるものです。医師は空き時間に待機し、相談者からの相談があると開始されます。
30分間リアルタイムでテキストでのやりとりを行います。1件あたり1400円の報酬となります(利用者の料金は2000円)。30分間の延長も可能です なお30分はあくまでも上限なので、実際は15分程度で終了することが多い印象です。
予約相談
いますぐ相談の類似バージョンで、予め相談可能な時間を設定しておきその時間に相談が始まるというものです。料金体系は同じです
いますぐ相談と比較して、待機時間が不要になるというメリットがあります。
あとから相談
相談者が質問を投稿しておき、任意の空き時間でそれに回答するものです。通常の掲示板でのやりとりを想像していただくと解りやすいでしょう。回答期限も一応あり、48時間以内に回答することとなっています。
相談者の打てる文字数上限は1000文字となっており、1000文字以内なら何度でも相談可能です。1件辺り700円の報酬となります(利用者の料金は1000円)。
その他相談と比較して、任意の時間に回答可能というメリットがあります。
※新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020/6/26まで相談者側の料金は無料となっています
自分の例ですが、これまで月額10万円程度はコンスタントに副収入を得られています。COVID-19の影響を受け、3月以降はとくに相談件数が飛躍的に増加しています
副業としてみたLINEヘルスケア
LINEヘルスケアの副業としての、メリット・デメリットをまとめました
メリット
自分の考えるメリットは以下の通りです
- 給与所得以外の所得(雑所得/事業所得)を得られる
- PCとインターネットさえあれば時間・場所を選ばない 初期コストが必要ない
- 医師としての参入障壁を利用可能 単価が高め
給与所得以外の所得
LINEヘルスケアの収入は給与所得ではなく、雑所得ないし事業所得に分類されます。他の例としては、Uber Eatsやクラウドソーシングでの報酬と同じですね。
雑所得になるか事業所得になるかは複雑な部分がありますが、いずれにせよ経費を利用可能な点は大きいです。例えばPC代・光熱費(ネット回線費)・家賃などを家事案分を利用して経費として利用することが可能です。
さらに事業所得で青色申告特別控除を利用すれば、年間65万円の控除を受けることもできます。
医師のアルバイトは単価が高いとはいえ、給与所得に分類されるものではこうした控除を活用できません。
累進課税制度では収入が上がれば上がるほど税負担が増してしまうので、副業で雑所得・事業所得を得ていき節税道具として利用することはコストパフォーマンスが高いです。
初期コストの低さ
医師として登録する際の書類送付などの手間はありますが、始めるのはノーコストです。 またPCとネット環境があればどこでも始めることが可能なため、病院で寝当直をしながら相談に回答するという合わせ技も可能です。
単価が高め
LINEヘルスケアには医師免許という参入障壁があるため、先述のUber Eatsなどと比べればコストパフォーマンスは良いです。
Uber Eatsはだいたい時給1500〜2000円前後とされますが、LINEヘルスケアではいますぐ相談の場合1400円/30分なので単純換算では時給2800円となります。
また相談が早めに終了すればさらに時給は上がりますね。
デメリット
一方で、いくつかデメリットもあります。
- 今後の収益が不透明
- 相談件数が安定しない
- ”時間の切り売り”の延長である
- 単価が低め
今後の収益が不透明
現状はそこそこの収益を上げられていますが、今はいわゆるバラマキ期間(先行投資期間)なので今後同等の収入が得られるかどうか怪しいところがあります。
ユーザ拡大を目指すフェーズでは収益性が高いものの、ある程度拡大が終わってからはどんどん還元率が悪化して旨味が少なくなってしまうことはよくあります。これはPayPayなどのQRコード決済還元合戦を思い返していただけると解りやすいでしょう(以前は20%還元だったが現在は1%にまで低下)。
実際、LINEヘルスケアでは以前よりも相談報酬が低下しました。 以前はいますぐ相談が2500円/30分・あとから相談が1000円/1件でしたが、現在は1400円/30分・700円/件にそれぞれ低下しています。
とくに現状は寡占市場のため、サービス提供者の心持ち一つで案件単価が40%以上も下落したという事実は肝に銘じておいた方がよいです。
相談件数が安定しない
LINEヘルスケアをユーザ側として利用した場合、相談したい診療科を相談すると下記のような画面となります(名前はモザイクをかけました)
この画面を見れば解るとおり、上位表示される方が圧倒的に相談数が増えます。しかし困った点として、どのような条件で上位に表示されるかはっきりしません。
これまで使ってきた傾向としては"プロフィール欄をしっかり書く(顔出しOKなら強い)"、"あとから相談で未返信のものを残さずなるべく早く回答する"、丁寧な対応を心がけるといった点が重要かと思います。また総相談件数も重要そうです。
要するに"回答者目線で"満足度を上げることを心がけましょう。質問終了後に満足度調査があるので、医師の表示順に何らかの影響があるものと考えられます
アフィリエイトのSEOと異なり、自助努力で表示順位を上げられるわけではないのが難しいところですね。
単価が低め
さっきと言っていることが逆じゃないか!と言われてしまいそうですが… 現在の報酬体系である1400円/30分(時給2800円)は通常の診療業務と比較してかなり低いです。
外来診察であれば、診療科にも依りますがクリニック・市中病院なら時給1万円〜1万5千円程度が一般的でしょうから、5分の1程度ということになります。
ただこれについては先述したように寝当直と組み合わせたり、他の作業(例えば家事など)と組み合わせることで効率的に時間を使う方法はありますね。
時間の切り売りビジネスの延長
LINEヘルスケアについて紹介してきましたが、これはあくまでも労働力を提供して収益を得ている状況です。
医師免許というバックグラウンドを活かした仕事で単価が高いとはいえ、自分の時間を投じた分しか収益は上がらないので将来の収益増が見込みづらいです。過剰に時間を投じることはオススメできません。
ここで挙げた収益を別のことに投じて、別の事業所得を作っていけると良いですね。
LINEヘルスケアの実際
LINEヘルスケアで診療相談を始めるためには、会員登録が必要です。エムスリーアカウントとLINEアカウントが必要ですので、持っていない方はまず登録をしましょう。
エムスリー登録について 紹介キャンペーン
エムスリーは上記サイトから登録が可能です。
なおエムスリーでは紹介キャンペーンを介して登録すると、紹介された側に3000円相当のポイントが付与されるキャンペーンが開催されています。
キャンペーンを利用しないと0円なので、可能なら登録時に利用されると良いでしょう。
身近に紹介してくれる人が見当たらない場合、当ページ右側のお問い合わせからコンタクト頂ければ私から招待することも可能です。その際は氏名(匿名でも良いです)・メールアドレスを記載してm3紹介希望と記載してくださいね。
エムスリーの登録終了後、LINEヘルスケアの登録が必要です。こちらは下記から登録が可能です
LINEヘルスケア 医師募集
フォームから応募すると返信が来ますので、報酬振り込み用の銀行口座登録や医師免許証送付などをすると利用が可能となります。
相談に答える
登録が完了し、ログインすると下記のような画面となります
画面中央の「いますぐ相談を受け付ける」を選ぶと、相談者から相談が来ることになります。あとから相談はページ上方のタブを切り替えると見ることができます。
新規の相談がくると、LINEで通知が来ますので注意しておきましょう。いますぐ相談は相談が来てから5分以内に応需する必要があります
最初は相談件数が少ないと思いますが、とりあえず相談待機時間を延ばすことから始めましょう
収益について
昨年11月からの自分の収益をまとめます。
2019年11月 | 2019年12月 | 2020年1月 | 2020年2月 | 2020年3月 | 2020年4月 |
6.5万円 | 13万円 | 12.8万円 | 12.9万円 | 62.2万円 | 45.1万円 |
自分が本格的に取り組み始めたということや、報酬体系が改訂される前だったということもありますが3月から飛躍的に伸びていることが解りますね。
同社の報道によると、3月は40倍の相談件数があったとのことです。
現在の情勢を踏まえると、今後も需要は高止まりの状況が続きそうです。
まとめ
LINEヘルスケアで患者相談に応えることは医師の副業の一つとして有効です。
メリットとして(相対的な)収益性の高さ・場所時間を選ばずできる点があり、また給与所得でないことから経費や控除など税制を有効に活用することができます。会社員(含む勤務医)は最も税制を活用しづらい、とは古典的名著である「金持ち父さん貧乏父さん」の頃から言われていることですね
ただし将来性は不透明であり、あくまでも自分の時間を切り売りするビジネスですので、労働時間を投じすぎないように注意が必要です。